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「太鼓の達人」と「どうしようもないもの」

http://dic.nicovideo.jp/id/3484591

「どうしようもないもの」の発祥は、pop'n musicの「[サイレント] 音楽」。楽曲終盤の8小節にわたる濃い密度の乱打がそれまでのボス曲を凌駕していたとして、それまでの「わけのわからないもの」を通り越した存在として命名された。
上記URLはこれを紹介するニコニコ大百科の記事だが、「どうしようもないもの」に比類する楽曲の選定に際してよく議論になる。機種間で比較するというのがそもそも難しいのは確かではあるのだが、ここで特に良く話題に上るのが「太鼓の達人」である。
「太鼓の達人」の楽曲に「どうしようもないもの」が存在するのか? これをゲームシステムの違いから考察してみようというのが本稿である。

[サイレント] 音楽 に見る「どうしようもないもの」とは

http://hellwork.jp/popn/wiki/?%E9%9B%A3%E6%98%93%E5%BA%A6%E8%A1%A8%2F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88%28EX%29

譜面はここを参照。楽曲全体の譜面が参照できるが、問題の「どうしようもないもの」は122〜129小節目(左の青数字、以下同じ)である。
この部分のノーツ数を以下に示す。(130小節目は最初のラインのみ)

小節数122123124125126127128129(130)合計
ノーツ数2323242122212226(2)182+2
BPM260---7.38(s)

この区間はBPM260の4拍子であるので、1小節当たり約0.92秒。つまり、7.4秒程度の間に184ノーツを捌く必要がある。秒間約25ノーツ。
なお参考までに前出「わけのわからないもの」を同様に計算すると、BPM187の4拍子で2小節、つまり約2.6秒。この間に76ノーツ降ってくるので、秒間約29.2ノーツとなる。

小節数5960(61)合計
ノーツ数3636(4)72+4
BPM187---2.57(s)

つまり、以下のことが言える。

  • 密度は高水準である(=最高である必要はない)。
  • 区間がある程度長い。
  • パターン化できない乱打を主体に構成されている。(この場合は階段要素が一部含まれる)

太鼓の達人の譜面とは

著者はメイン機種としていないので、譜面の特徴だけを一般論的に述べる。

  • レーンは1本のみ、そこに全てが流れ込んでくる(面・縁のほか、風船などの特殊ノーツを含む)
  • ノーツの種類が極端に少ない(叩く場所に限って言えば実質2択)
  • 連打ノーツがあり、基本天井の計算には12ノーツ/秒として計算される
  • 各要素を組み合わせることができない(同時に組み込めない)

ゲームシステムの比較

ここで、譜面を離れてゲームシステムについて考える。

  1. ある瞬間の操作の組み合わせ数
    • ポップン:9個のボタンをそれぞれ押す・押さないで区別できるため、2^9(2を9回乗ずる)=512通り。実際には無理押しが発生するのでもう少し低い。
    • 太鼓:2通り。叩く場所が面なのか縁なのか、その違いだけ。特殊ノーツは全て面を叩くことになっているので組み合わせに含まない。
    • つまり圧倒的にポップンが複雑。
  2. ノーツのバリエーション
    • ポップン:1通り。単押しのみ。
    • 太鼓:少なくとも3通り。単押し、連打、一定時間内に規定打数。単押しには強く叩くと点数割り増しの特殊ノーツがあるが、クリアには関係ないので割愛。
    • 太鼓がやや複雑。ただし、単押し以外がクリアゲージに影響せず*1、実質同等。
  3. リカバリーに必要なノーツ数
    • ミスを出してしまったときに、そのミスを帳消しにするために必要なノーツ数
    • ポップン:8.5ノーツ、見逃したときは25.5ノーツ。但しノーツ数が特に多い辛ゲージ曲はこの倍が必要になる。*2
    • 太鼓:2ノーツ。むずかしいコースやレベルの低いおにコースはもう少し低くなる。*3
    • 圧倒的にポップン不利。なお、判定は最も良いもので計算した。(下位判定の場合はさらに増える)
  4. ミスした位置の影響
    • ポップン:クリアにのみあり。ゲージが一杯になるとそれ以上増えず、そのプレーは(クリア判定上は)なかったことにされる。
    • 太鼓:スコアにのみあり。一定ノーツ数毎に基本点が増加するシステムを取っており、コンボをぶつぶつ切るよりも長く繋げたほうが高得点に結びつく。
    • 理不尽なのはポップン。そもそも「ラスト殺し」(最後だけでゲージを削られてクリア失敗)という用語は太鼓にはなかった。*4

以上から分かることとして、ゲームシステム上pop'n musicはクリア自体が難しいように設計されている。クリアの下の分かりやすい線引きは「途中終了しないかどうか」程度しかなく、かなり厳しい条件になっているといえる。
一方、太鼓の達人はクリア自体はそこまで難しくはない代わりに、コンボを意識させる方向で高得点のハードルが高くなっている。

考察・個人的意見

「長い発狂によってフルコンはおろかクリアが絶望的になる」という意味での「どうしようもないもの」は、太鼓の達人のゲームシステム上発生し得ない。
もし「どうしようもないもの」をどうしても設けたいのであれば、各機種毎にレベルを設ける必要がある。しかし、操作も譜面もシンプルなゲームシステムを持つ太鼓の達人は他機種から比べて簡単として見られやすい。ほぼ全ての楽曲は登場から1日程度でフルコンボ(ノーミス)が達成されることがその根拠として挙げられる。設ける必要があるハードルは相当なものになると思われる。
なお、この背景には、譜面を複雑にしたところで操作自体は単純なことから結局のところパターン暗記に収束してしまうことが考えられる。

なお、本稿の執筆直前に「ドンカマ2000」という新曲が登場した。この楽曲は面を叩くタイミングと縁を叩くタイミングが独立した速度で流れてくるという新しいタイプの譜面でリズムの把握が難しく、「どうしようもないもの」という観点からすると非常に興味深い。なお、この楽曲のフルコンボは約半月経ってから出現した。

総括

そのシンプルすぎるゲームシステムゆえ、太鼓の達人には他機種と同じレベルの「どうしようもないもの」を生み出すだけのポテンシャルは限りなく低いと言わざるを得ない。譜面の構成要素もシンプルなことから暗記が効き、しかもそれで十分対応できることが理由として挙げられる。

付録

「どうしようもないもの」の後に降ってくる、最終盤の高速連打部分を同様に計算してみる。

小節数150151152153(154)合計
ノーツ数19181824(5)79+5
BPM350360---2.69(s)

2.69秒中に84ノーツ、秒間31.2ノーツ。なお153-154小節のみで計算すると、0.67秒中に29ノーツ、秒間43.3ノーツ。


*1 連打をスルーして疲労蓄積を防止する光景が見られる
*2 http://formula.pupu.jp/gauge.html
*3 http://www.wikihouse.com/taiko/index.php?%BA%B2%A5%B2%A1%BC%A5%B8%A4%CE%BF%AD%A4%D3%CE%A8
*4 ゲージ100%が要件として課される段位道場などでは使用されることもある

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Last-modified: 2015-03-09 (月) 22:17:26 (842d)